京都を代表する観光名所で世界遺産の「第十六番札所 音羽山 清水寺」

●宗派:北法相宗
●御本尊:十一面千手千眼世音菩薩
●開基:延鎮上人
●創建:宝亀9年(778年)

《概要》
日本はもとより世界各国から観光客が訪れる清水寺は、音羽山の中腹、13万㎡にも及ぶ境内に多くの堂塔が並び立っています。

遠くは大阪まで見渡すことが出来る絶景の地にあり、四季折々の自然景観にも恵まれ、春の桜、秋の紅葉の眺めは一幅の絵巻物のように素晴らしいものがあります。

清水寺の開創にまつわる縁起ですが、奈良時代の末期に大和の僧・延鎮上人が霊夢に導かれて音羽山中の金色に流れる水の源にたどり着き行叡居士に出会いました。

行叡居士は観音の化身で、「この草庵のところに堂を建て、そばの霊木に観世千手観音を刻んで祀るように」と言いおいて消えてしったのがそのおこりといわれています。

歳月が流れ、やがてのちに征夷大将軍となる坂上田村麻呂が、妻の安産のために鹿狩りをしていたところ、不思議な水の流れを辿って延鎮上人に出会い、殺生の罪深さを諭されました。

田村麻呂は妻と共に観世音に帰依し、崖を崩しそして谷を埋めて寺院を寄進し、金色八尺の千手観音像を本尊としたそうです。

田村将軍は東北遠征の成功は観音に変化した毘沙門天と地蔵菩薩の加護によるものと感謝し、毘沙門天像と地蔵菩薩像を作り、脇侍としました。

清水寺は建立以来、桓武天皇の勅願寺、また嵯峨天皇の時には鎮護国家の道場となったこともあり、さらには観音信仰も手伝って参籠する人達が多く集まって、その様子を紫式部や清少納言、菅原孝標女などの作品にも書かれています。

そんな清水寺へは、約1kmにわたって土産物屋が並ぶにぎやかな清水坂を上り、朱塗りの仁王門(重要文化財)を過ぎ、西門、三重塔、鐘楼、田村堂を経て国宝である本堂に着きます。

檜皮葺の本堂は、徳川家光の寄進によって寛永10年(1633年)に再建され、崖の上にせり出した高さ13mの清水の舞台で知られています。

また本堂の東側にはそれぞれ重要文化財となる釈迦堂や阿弥陀堂、奥の院が崖に面して立ち並び、本堂の石段を下りた先に清水寺の由来となる霊水・音羽の滝に出てきます。

さらに奥の院の前を南に少しのところにある子安堂(重要文化財)から望むことが出来る清水の舞台の眺望も素晴らしいものです。

《参詣ガイド》
ユネスコの世界遺産に登録された清水寺は、観音霊場の信仰に加えて、数多くの文化財と景観に恵まれています。

古くからある表参道は、東大路通のバス停清水道から清水寺を上る道になり、その南側には五条坂から茶碗坂を上る道もあります。

また円山公園から高台寺下の「ねねの道」を通って、二年坂、三年坂をたどるコースも人気が高く、この道沿いには江戸時代の建物も残っており、重要伝統的建造物群保存地区を通っています。

さらに清閑寺から歌の中山を抜けて子安堂に出る道は、清閑寺までの足の便が悪いこともあり、時折山歩きの人に出会う程度の静かな道になります。