山々の深い緑に包まれ花と紅葉も見事な「第十番札所 明星山 三室戸寺」

●宗派:本山修験宗
●御本尊:千手観世音菩薩
●開基:行表和尚
●創建:宝亀元年(770年)

《概要》
寺伝によると三室戸寺は宝亀元年(770年)、光仁天皇が宮中に毎夜金色の霊光が差し込むのをご覧になり、天皇は藤原犬養(いぬかい)に霊光の源を調べさせたところ、宇治川支流の志津川上流の岩淵というところで観音が出現しました。

感激した犬養が滝壺に飛び込むと、目の前に流れてきた蓮弁が一尺二寸の二臂の観音に化すという不思議な体験をしたため、戻って天皇に奏上したところ、天皇は岩淵の地にこの観音像を祀る堂を建立することを命じられました。

桓武天皇の時、2丈の千手観音像を造立し、二臂の観音像を胎内に納めたといわれ、これが三室戸寺の始まりで、「みむろ」とは、神霊の鎮まる神聖な場所を指す語、「と」は入り口の意味であろうと寺ではみています。

平安後期には多くの伽藍が立ち並び、大寺として栄えましたが、度々の火災で衰退し、文明年間(1469~1486年)後土御門天皇が寺を現在の地に移して再興を果たしましたが、織田信長の焼き討ちに遭って焼失しました。

参道を進んで、山門をくぐると、右手に四季折々の花で彩られる5000坪もの庭園が見渡せるこのお寺は花の寺で知られており、中でもアジサイ1万株の美しさは格別なものがあります。

また春には2万株ものツツジ、1千株のシャクナゲが山の斜面を埋め尽くし、さらに石段を登った本堂前は、250もの鉢を並べたハス園で、花の時期にはさながら極楽浄土を思い起こさせます。

尚、本堂は江戸後期の文化11年(1814年)の再建とされ、本堂前には口中の石の玉を撫でると勝ち運がつくといわれる宝勝牛も鎮座しています。

本殿の背後に建つ十八神社社殿は室町時代のもので、国の重要文化財であり、毎月17日に公開される宝物館には、藤原時代の仏像【重要文化財】が安置されています。

《参詣ガイド》
三室戸寺のある宇治市は、京の南の出入口に位置しており、京と大和、近江と大和を結ぶ道が、南北に通っています。

京へ攻め上るもの、大和へ落ち延びるもの達が踏みしめた道を、巡礼者の人々もまた踏みしめてきました。

現在、寺への最寄り駅は、京阪宇治線の三室戸駅となり、駅から東へ、春には桜堤となる小川に添って進んでいきます。

JR奈良線を越えるとすぐに府道京都宇治線との交差点に出ますので、三室戸寺への大きな道標に従って、交差点を東へ渡りゆるやかな坂道を上ります。

その途中に道が2つに分かれるところで左の道に入ると、あとは一直線に門前へと導かれます。

またJR奈良線宇治駅からは、宇治橋を渡って北へ徒歩20分ほど直進し、京阪三室戸駅からの道と合流するところで右折してください。

宇治橋から源氏物語ミュージアム西側の道を通って「源氏物語」宇治十帖の古蹟「蜻蛉(かげろう)の碑の前を経て、京阪三室戸駅からの道に入るコースもあるが、住宅地の中を抜けるので少々わかりにくい。

むしろ三室戸寺を参拝後の帰り道とした方が、道案内を見つけやすいでしょう。